決算書の読み方 ~トヨタ自動車の例~
皆さま、ごきげんよう。
商いの成否を見極めるには、その帳簿……すなわち「決算書」を読み解かねばなりません。 今回は、世界を股にかける車作りの大家、トヨタ自動車の決算を例に、わらわと共にその「台所事情」を検分してみましょうぞ。
決算書を読むための「三つの勘所」
いかに巨大な企業とて、見るべき要所はそれほど多くはございません。まずは以下の三つの数字に目を光らせるのが肝要にございます。
1. 売上高(どれだけ稼いだか)
これは、その企業が1年間でどれだけの品を売り、どれだけの対価を得たかを示す、商いの規模そのものにございます。 トヨタほどの規模になれば、その額は40兆円を超えるなど、もはやわらわの想像を絶するほどの大金が動いております。
2. 営業利益(本業でどれだけ儲けたか)
ここが肝心でございます。売上から材料費や人件費を差し引いた、いわば「手元に残った商いの実力」でございます。 いくら売上が大きくとも、この利益が薄くては、持続可能なあきないとは申せませぬ。トヨタは日本企業として初めて営業利益5兆円の壁を越えるなど、1台あたりの稼ぐ力が極めて強いことが分かります。
3. 自己資本比率(蔵の守りは堅いか)
これは「返さなくてよいお金」がどれくらいあるかを示す指標にございます。 この比率が高いほど、少々の不景気に見舞われても揺るがない、盤石な構えであると言えるでしょう。
一般的には、この数字が 30%から40% を超えておれば、まずは安心できる堅牢な蔵(財務体質)であると見なされます。もし 50% を超えておれば、ちょっとやそっとの嵐ではビクともしない、大層立派な構えと言えましょう。
世間の評価を測る「二つのものさし」
決算の数字が出揃うと、世間の民(投資家たち)はその会社の株を売り買いいたします。その際、株価が割高か割安かを判断するための「ものさし」となるのが、以下の二つでございます。
4. PER(株価収益率:からくりに対する期待値)
「株価が1株あたりの純利益の何倍まで買われているか」を示す指標にございます。数字が低ければ「稼ぐ力の割にお買い得」、高ければ「将来の成長が大いに期待されている」と見ることができます。 現在のトヨタのPERはおおむね12倍〜13倍ほどで推移しております。世間からは着実な稼ぎが評価されつつも、過熱しすぎず落ち着いた値動きと言えましょう。
5. PBR(株価純資産倍率:会社が持つ純粋な値打ち)
「株価が1株あたりの純資産の何倍か」を示す指標でございます。もし1倍を割ってしまうと、「会社を解散して、持っている土地や現金を皆で分けた方が儲かる」という、少々情けない状態を意味します。 トヨタのPBRはおおむね1.2倍〜1.8倍の間で推移しており、しっかりと企業の価値が資産を上回って評価されております。
同業他社(ライバル)との背比べ
あきないの真の立ち位置を知るには、同じ土俵で相撲をとるライバルと比べるのが一番でございます。ここでは同じく日の本を代表する車作りの大家である**「ホンダ(本田技研工業)」、そして「日産自動車」**と並べてみましょう。
- ホンダの評価
- ホンダもまた二輪車(バイク)で世界一の強さを誇る大企業ですが、PBRを見てみますとおよそ「0.45倍〜0.5倍」付近と、1倍を大きく割り込んでいる状態が続いております。
- 一方で、PERは19倍〜21倍ほどと、トヨタよりもやや高めに出ております。特定のからくりに期待が集まる反面、会社全体の資産や利益を生み出す効率(PBR)という点においては、トヨタに軍配が上がっていると見られております。
- 日産自動車の評価
- 日産は現在、あきないの立て直し(構造改革)に苦心しておる真っ最中にございます。PBRを見ますとおよそ「0.28倍〜0.3倍」付近と、ホンダ以上に厳しい評価が下されております。
- さらに、利益が赤字の見通しとなるなどして、PERに至っては「算出不可(あるいはマイナス)」となる場面もございます。これは「現在の稼ぐ力に対して株価を評価することすら難しい」という、株式市場からの極めて辛口なジャッジの表れでございます。
このように並べてみますと、トヨタの「盤石な守りと圧倒的な稼ぐ力」がいかにずば抜けているかが、世間の評価(ものさし)を通して透けて見えるのでございます。
決算の出所(ソース)
わらわが検分に用いた各社の一次情報(大元の公式資料)は、誰でも閲覧可能でございます。ご自身の目で数字を確かめたい者は、以下の蔵(ウェブサイト)を訪ねてみるがよろしいでしょう。
わらわの検分(所感)
これまでは「トヨタは大きな会社だ」と漠然と考えておりましたが、こうして数字やライバルとの違いを突き合わせてみますと、その桁違いの体力と、投資家たちからの確固たる信頼がひしひしと伝わって参ります。
あきないの風向きや世間の評価を知ることは、この国の行く末を知ることと同義。 皆さまも、身近な企業の「台所」を覗いてみてはいかがでしょうか。意外な発見があるやもしれませぬ。
本日も、わらわの修練にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。